ヒップスラストには「大臀筋に最も効く種目」という説明がついて回ります。この論点について、筋電図の測定結果と、9週間追跡した結果が食い違っているので、そこから書きます。
1回のトレーニング中の筋電図では、大臀筋の活動がスクワットの2倍以上(上部で69.5% vs 29.4%)でした。ところが同じ研究グループが参加した9週間の追跡研究では、大臀筋の断面積の増加に差がありませんでした。 しかも同一の研究内で、筋電図はヒップスラストが有意に高かったのに、9週間後の肥大には差が出ていません。
そして押さえておくべき点として、筋電図の研究(2015年)の筆頭著者はヒップスラスト器具の特許権者かつ発明者であり、9週間の研究(2023年)では共著者2名が運動関連の製品・サービスを販売していることが、それぞれの原典に明記されています。
1. ヒップスラストで使う筋
肩甲骨をベンチに乗せ、膝を立てた姿勢から、股関節を伸ばして骨盤を持ち上げる動作です。
トレーニング経験のある女性13名を対象に、推定10RM(約75%1RM相当)で比較した研究では、次の筋活動が報告されています。この研究が測定したのは、上部大臀筋・下部大臀筋・大腿二頭筋・外側広筋の4箇所です。
| 測定部位 | ヒップスラスト | バックスクワット |
| 上部大臀筋(平均) | 69.5% | 29.4% |
| 上部大臀筋(ピーク) | 172% | 84.9% |
| 下部大臀筋(平均) | 86.8% | 45.4% |
| 下部大臀筋(ピーク) | 216% | 130% |
| 大腿二頭筋(平均) | 40.8% | 14.9% |
| 外側広筋(平均) | 99.5% | 110%(有意差なし) |
出典:Contreras B, et al. J Appl Biomech, 31(6), 452-458, 2015年(PMID: 26214739)
大臀筋と大腿二頭筋では有意に高く、外側広筋では有意差がありませんでした。
著者が本文で明記している限界:
- 表面筋電図はクロストーク、皮膚の滑り、筋腹の形状変化に影響される
- 推定10RMを使用している(換算表にもとづくもので、両種目で妥当性が検証されていない)
- 限界まで追い込んでいない
- 「本研究の結果は約75%1RM相当の負荷にのみ適用される」
- 「この活性化の高さが筋力・筋肥大・パフォーマンスの向上と相関するかを判断するには、長期のトレーニング研究が必要」
利益相反:筆頭著者はヒップスラスト器具「The Hip Thruster」(US特許 US8172736B2)の特許権者かつ発明者であることが、原典に明記されています。
なお表中の「172%」「216%」は、事前に測定した最大随意収縮を100%として正規化した指標です。最大の力を上回ったという意味ではありません。
2. 筋電図と長期の結果が食い違っています

前章の著者自身が「長期のトレーニング研究が必要」と書いており、その研究が2023年に発表されています。
2-1. 9週間追跡した結果
未鍛錬の大学生年代34名を、ヒップスラスト群18名とスクワット群16名に分け、9週間・週2回、8〜12レップを筋力的な限界まで行った研究です。MRI(3T)で大臀筋の横断面積を上部・中部・下部に分けて測定しています。
| 部位 | 群間差(スクワット − ヒップスラスト) | 95%信用区間 |
| 下部大臀筋 | −1.6±2.1 cm² | −6.1 〜 2.0 |
| 中部大臀筋 | −0.5±1.7 cm² | −4.0 〜 2.6 |
| 上部大臀筋 | −0.5±2.6 cm² | −5.8 〜 4.1 |
| 中臀筋+小臀筋 | −1.8±1.5 cm² | −4.6 〜 1.4 |
すべての信用区間がゼロをまたいでいます。 著者は「大臀筋の増加は両群で同程度だった」と結論しています。
一方、大腿四頭筋(+3.6±1.5 cm²)と内転筋群(+2.5±0.7 cm²)はスクワットが優位でした。
出典:Plotkin DL, et al. Front Physiol, 14:1279170, 2023年(PMID: 37877099、全文 )
2-2. 同じ研究のなかで、筋電図と肥大の結果が違いました
ここがこの研究のもっとも重要な点です。
同研究は初回セッションで表面筋電図も測定しており、すべての臀筋部位で平均の筋電図はヒップスラストが有意に高かった(p<0.01)にもかかわらず、9週間後の肥大には差がありませんでした。
著者はこう記載しています。
平均およびピークの表面筋電図の振幅はヒップスラストを支持したが、レジスタンストレーニング介入における長期的な筋力・筋肥大の結果を表面筋電図が予測できるかについては、近年疑問視されている
これらの知見は長期研究の重要性を示している
著者が明記している限界:
- 「若年未鍛錬の男女であり、他の集団に一般化できるとは限らない」
- 9週間という短期間
- 臀部のMRIコイルの配置が大腿部の筋を圧迫した可能性
- ボリュームを揃え、頻度を週2回に固定した特定のプロトコルにのみ適用される
利益相反:共著者2名が運動関連の製品・サービスを販売していることを開示しています。 ただし「両名は研究デザインへの助言と資金提供以外、研究のいかなる側面にも関与していない」と記載されています。資金の一部は、共著者1名からの寄付を含みます。
2-3. 「大臀筋に最も効く種目」という順位について
この主張を検証できる資料を3種類確認しましたが、示される順位が一致していません。
| 資料 | 手法 | 最上位とされたもの |
| 系統的レビュー(16研究) | 筋電図の統合 | ステップアップ系を筆頭に、デッドリフト、ヒップスラスト、ランジ、スクワット |
| 筋骨格モデル(女性サッカー選手14名) | 筋力(N)の推定 | 負荷ありスプリットスクワット・片脚ルーマニアンデッドリフト・片脚ヒップスラストの3種目が並ぶ |
| メタ解析(12研究) | 長期の筋肥大 | 種目間の順位はついていない。 バーベルヒップスラスト、バックスクワット、レッグプレス、ニーリングヒップエクステンションを有効な種目として挙げる |
出典:Neto WK, et al. J Sports Sci Med, 19(1), 195-203, 2020年(PMID: 32132843)/Collings TJ, et al. Med Sci Sports Exerc, 55(4), 650-660, 2023年(PMID: 36918403)/Krause Neto W, et al. Front Physiol, 16:1542334, 2025年(PMID: 40276368)。いずれも当サイトでは抄録のみ確認
筋肥大のメタ解析の結論は次のとおりです。
単関節・多関節のいずれの股関節伸展種目も、単独でも組み合わせても、大臀筋の肥大を効果的に刺激しうる
当サイトとしては、「ヒップスラストが大臀筋に最も効く」と書くことはしません。 資料によって順位が変わり、長期の筋肥大では順位がついていないためです。
3. ヒップリフト・グルートブリッジとの違い
この3つの用語について、定義を統一した資料を当サイトでは確認できていません。 上位記事7件のなかでも、用語を整理していた記事はありませんでした(2026年8月14日時点)。
実務上、次のように使い分けられています。
| 呼び方 | 一般的に指すもの |
| グルートブリッジ | 床に仰向けで寝て、骨盤を持ち上げる(自重) |
| ヒップリフト | グルートブリッジとほぼ同義で使われることが多い |
| ヒップスラスト | 肩甲骨をベンチなどに乗せて行う。可動域が広くなる |
この区別は実務上採られている整理であり、用語の定義を定めた資料を当サイトでは確認できていません。 記事や動画によって別の意味で使われている場合があります。
器具や設備の説明で「ヒップスラスター」と呼ばれている場合、その機種が何を指すかは施設の掲示または取扱説明書を確認してください。
4. 重量をどう決めるか

4-1. 女性の目安が4倍以上ばらついています
2026年8月14日に取得できた上位7記事のうち、女性の重量に言及していたものの数値です。
| 記載されている数値 | 根拠 |
| 平均25〜45kg | なし |
| 体重比(記事内で提示) | なし |
| 女性でも100kg以上 | なし |
下限25kgと「100kg以上」では4倍以上の開きがあります。 どちらにも出典が示されていません。「他の人はこちらも質問」に「ヒップスラストは女性で何キロですか?」という質問が出ているにもかかわらず、答えが揃っていない状態です。
当サイトでは、ヒップスラストの適正重量を体重や性別から算出する根拠を確認できていません。 よって数値を書きません。
参考として、前掲のContreras 2015ではトレーニング経験のある女性13名(レジスタンストレーニング歴7.00±5.80年)の10RMが、バックスクワット53.2±17.0kg、ヒップスラスト87.4±19.3kgでした。これは特定の研究の被験者の記録であり、目安として示されたものではありません。
4-2. 回数から決めます
アメリカスポーツ医学会(ACSM)2009年版のポジションスタンドは、経験レベル別に次を示しています。
| 経験レベル | 負荷 | 頻度 |
| Novice(未訓練、または数年間トレーニングしていない) | 8〜12RM | 週2〜3日 |
| Intermediate(継続的な経験が約6か月) | 1〜12RMを周期化(筋肥大は6〜12RM域を重視) | 週3〜4日 |
| Advanced(数年の経験) | 1〜12RMを周期化(同上) | 週4〜5日 |
負荷の漸増は「目標回数より1〜2回多くできるようになったら、負荷を2〜10%増やす」という基準です。
出典:American College of Sports Medicine. Med Sci Sports Exerc, 41(3), 687-708, 2009年(PubMed PMID 19204579 )
この頻度はトレーニング全体に対する推奨であり、ヒップスラストという種目を週に何回行うかを示したものではありません。 またこの種目を対象に負荷や回数を比較した研究は、当サイトでは確認できていません。
なお前掲のPlotkin 2023では、8〜12レップを筋力的な限界まで、週2回、セット数は1〜2週目に3〜4セット→3〜6週目に5セット→7〜9週目に6セットという条件で肥大が確認されています。これは1つの研究のプロトコルであり、推奨値として示されたものではありません。
5. セットアップと動作

5-1. 姿勢
- 肩甲骨をベンチの縁に乗せます
- 膝を立て、足を床につけます
- バーを股関節の上(骨盤の前)に置きます
- 股関節を伸ばして骨盤を持ち上げます
- 下ろします
これらは実務上広く採られている手順であり、比較検証した研究を当サイトでは確認できていません。
5-2. バーが当たって痛い場合
バーが骨盤の骨に当たって痛むという問題があります。 上位7記事のうち、これに触れていたのは1件のみでした。
実務上はバーパッドやタオルを挟む対応が採られています。 ただしパッドの使用と痛みの関係、および使用によって動作が変わるかどうかを検証した資料を、当サイトでは確認できていません。
痛みが続く場合は中止してください。
5-3. ベンチの高さ
ベンチの高さの決め方について、比較検証した資料を当サイトでは確認できていません。 上位7記事のうち言及していたのは1件のみでした。
ベンチの高さと筋活動・筋肥大の関係を測定した資料を、当サイトでは確認できていません。 高さによって動作の開始位置が変わりますが、それが何をもたらすかを示せる資料を持っていません。
5-4. 可動域のどこで活動が高まるか
トレーニング経験のある女性20名を対象に、80%1RM×3レップで、可動域を3つの位置に分けて筋電図を測定した研究があります。
ヒップスラストは動作の最上部で活動のピークを迎え、リアフットエレベーテッド・スプリットスクワットは最下部でピークを迎えました。 スプリットスクワットのほうが外側広筋の活動が有意に高かった(59.4% vs 43.6%)とされています。
著者は両種目の併用を推奨しています。可動域のなかで活動のピークを迎える位置が異なるためです。
出典:McCurdy K, et al. J Strength Cond Res, 35(5), 1201-1207, 2021年(PMID: 33900255。当サイトでは抄録のみ確認)
これは急性の筋電図測定であり、長期的な筋肥大を比較したものではありません。
5-5. 足の位置について
ヒップスラストの足の位置(前後・幅・つま先の角度)を比較した査読済みの研究を、当サイトでは確認できていません。 PubMedで検索した範囲では該当する研究が見つかりませんでした。
上位記事に足の位置の指示があった場合も、根拠が示されているかを確認してください。
6. スプリントへの効果はどこまで言えるか
「ヒップスラストでスプリントが速くなる」という説明があります。これを検証したランダム化比較試験があります。
14〜17歳の男子アスリート24名(ヒップスラスト13名/フロントスクワット11名)を、6週間・週2回、評価者盲検で追跡したものです。
群内の変化では、ヒップスラスト群の20m走が−1.67%(効果量1.14)改善しています。
ただし群間比較では次の結果でした。
| 指標 | 効果量 | 90%信頼区間 |
| 10m走 | 0.32 | −0.39 〜 1.03 |
| 20m走 | 0.39 | −0.31 〜 1.09 |
| 垂直跳 | −0.47 | −1.20 〜 0.23(スクワット寄り) |
| ヒップスラスト3RM | 1.35 | 0.65 〜 2.05(ゼロをまたがない) |
スプリントの群間差は、いずれも信頼区間がゼロをまたいでいます。 信頼区間がゼロをまたがなかったのは、ヒップスラストの3RMとアイソメトリック・ミッドサイプルのピーク力のみでした。つまり「行った種目そのものが強くなった」という結果です。
出典:Contreras B, et al. J Strength Cond Res, 31(4), 999-1008, 2017年(原典 )
著者が本文で明記している限界:
- 「思春期の男子はホルモン値が変化し、多くの生活上のストレス要因を抱える。これらの結果は、女性や成人など他の集団に外挿できない」
- 「6週間(計12セッション)という短期間では、十分に観察可能な結果を得るのに足りていない可能性がある」
- フロントスクワットはパラレルまでしか行っていない
- 種目を二分しており、併用した群のほうがよかった可能性がある
利益相反:筆頭著者はヒップスラスト器具の特許権者かつ発明者であることが、原典に明記されています。
なお抄録の「possibly favored the hip thrust(ヒップスラストをやや支持する)」という表現は、マグニチュードベース推論による定性的な記述です。
複数の研究を統合したメタ解析では、次の結論が示されています。
スクワットもヒップスラストも、水平跳躍距離・短距離走タイム・方向転換能力に有意な影響を与えなかった
出典:Asghari SH, et al. Sports Biomech, 24(12), 3473-3492, 2025年(PMID: 40988435。当サイトでは抄録のみ確認)
当サイトとしては、「ヒップスラストでスプリントが速くなる」と書くことはしません。
7. スクワット・デッドリフトとの関係
よく訓練された男子スプリンター11名を対象に、22台のモーションキャプチャカメラと4枚のフォースプレートで逆動力学解析を行った研究があります(6RM負荷)。
| 種目 | 膝の伸展モーメント |
| バックスクワット | 155 ± 28 Nm |
| ヒップスラスト | 66 ± 33 Nm |
| デッドリフト | 24 ± 27 Nm |
またヒップスラストとデッドリフトは、バックスクワットより腰仙部と股関節の伸展モーメントがそれぞれ24%・42%大きいと報告されています。
出典:Otsuka M, et al. PLoS One, 16(7):e0251418, 2021年(PMID: 34197487。当サイトでは抄録のみ確認)
膝への関与という点では、ヒップスラストはスクワットの半分以下という測定結果です。ただしこれは急性の力学測定であり、長期的な結果を示したものではありません。
スクワット、デッドリフト、スティフレッグデッドリフトの記事もあわせて参照してください。
8. 実施環境について
ヒップスラストは専用のマシンで行う場合と、バーベルとベンチで行う場合があります。
バーベルで行う場合、バーの出し入れとベンチの位置決めが必要になります。 スミスマシンやパワーラックを使う形もありますが、セーフティやフックの位置は機種によって違うため、施設の掲示または取扱説明書を確認してください。
器具の設定手順について、比較検証した資料を当サイトでは確認できていません。 設置している器具はトレーニングマシンの種類一覧にまとめています。
同じ脚のマシン種目として、レッグプレス、レッグエクステンション、レッグカールの記事もあります。脚全体の組み方はジムの筋トレメニューは「器具」から決めるから辿れます。
9. セット間の休憩
ACSM 2009年版は目的別に、筋力3〜5分/筋肥大1〜2分/局所筋持久力90秒未満を示しています。系統的レビュー(23研究・計491名)では、鍛錬者が筋力向上を最大化するには2分超、未訓練者は60〜120秒で十分と思われるとされています。ただしこれは系統的レビューでありメタ解析ではありません。
出典:Grgic J, et al. Sports Med, 48(1), 137-151, 2018年(PMID: 28933024)
ヒップスラストを対象に休憩時間を比較した研究は当サイトでは確認できていません。
本記事で「上位記事」と書いている箇所は、2026年8月14日時点でGoogle検索(日本)の上位に表示されていた記事を指します。検索結果は日々変動するため、現在の表示順とは異なる場合があります。
10. よくある質問
- ヒップスラストは大臀筋に最も効く種目ですか?
-
当サイトでは「最も効く」と書くことができません。 筋電図の系統的レビューではステップアップ系が筆頭に挙がり、筋骨格モデルの研究ではスプリットスクワット・片脚ルーマニアンデッドリフト・片脚ヒップスラストの3種目が並び、長期の筋肥大のメタ解析では種目間の順位がついていません(2-3)。
- 筋電図でスクワットの2倍以上なら、そのぶん効果も大きいのですか?
-
同じ研究グループが参加した9週間の追跡研究では、大臀筋の断面積の増加に差がありませんでした(群間差の95%信用区間がすべてゼロをまたぐ)。しかも同一研究内で筋電図はヒップスラストが有意に高かったのに、肥大差は出ていません。 著者は「表面筋電図が長期の結果を予測できるかは近年疑問視されている」と記載しています(2章)。
- 女性は何キロから始めればいいですか?
-
当サイトでは、体重や性別から適正重量を算出する根拠を確認できていません。 上位記事のあいだでも「平均25〜45kg」から「女性でも100kg以上」まで4倍以上ばらついており、いずれにも出典がありません。8〜12回で限界が来る重量を軽い側から探してください(4章)。
- ヒップリフトやグルートブリッジとの違いは何ですか?
-
これらの用語の定義を統一した資料を当サイトでは確認できていません。 実務上は、床で行うものをグルートブリッジ・ヒップリフト、肩甲骨をベンチに乗せて行うものをヒップスラストと呼び分けることが多いですが、記事や動画によって別の意味で使われている場合があります(3章)。
- ヒップスラストをやるとスプリントが速くなりますか?
-
当サイトでは「速くなる」と書くことができません。 6週間のランダム化比較試験では、スプリントの群間差はいずれも90%信頼区間がゼロをまたいでいます。 信頼区間がゼロをまたがなかったのはヒップスラストの3RMとアイソメトリック・ミッドサイプルのみでした。メタ解析では、スクワットもヒップスラストも短距離走タイムに有意な影響を与えなかったと結論されています(6章)。
- バーが骨に当たって痛いです。
-
実務上はバーパッドやタオルを挟む対応が採られています。 ただしパッドの使用と痛みの関係を検証した資料を当サイトでは確認できていません。 痛みが続く場合は中止してください。
- 足はどこに置けばいいですか?
-
ヒップスラストの足の位置を比較した査読済みの研究を、当サイトでは確認できていません。 PubMedで検索した範囲では該当する研究が見つかりませんでした。上位記事に指示があった場合も、根拠が示されているかを確認してください。
- ベンチの高さはどれくらいがいいですか?
-
高さの決め方について比較検証した資料を当サイトでは確認できていません。 上位7記事のうち言及していたのは1件のみでした。構造としてはベンチが高いほど開始位置で股関節が深く曲がりますが、高さと筋活動・筋肥大の関係を測定した資料は確認できていません。
- 毎日やってもいいですか?
-
ヒップスラストを対象に頻度を比較した研究は当サイトでは確認できていません。 ACSM 2009年版はNovice(初心者)に週2〜3日を示していますが、これはトレーニング全体に対する推奨で、種目ごとの上限ではありません。なお9週間の追跡研究で肥大が確認されたのは週2回のプロトコルです。
- スクワットもやったほうがいいですか?
-
前掲の9週間の研究では、大臀筋の増加は両群で同程度でしたが、大腿四頭筋(+3.6 cm²)と内転筋群(+2.5 cm²)はスクワットが優位でした。また膝の伸展モーメントはスクワットが155 Nm、ヒップスラストが66 Nmという測定結果があります。どちらを選ぶべきかを示す資料は確認できていませんが、測定されている範囲では関与する部位が異なります。
- 腰が痛くなります。
-
中断してください。上位7記事のうち6件が「腰を反らない」と書いていますが、腰の反りと痛みの関係を測定した資料を当サイトでは確認できていません。 痛みが続く場合は医療機関への確認が必要な場合があります。
11. まとめ
- 筋電図では大臀筋の活動がスクワットの2倍以上(上部で69.5% vs 29.4%)でしたが、9週間の追跡研究では肥大に差がありませんでした。 同一研究内で筋電図は有意差があったのに肥大差が出ていない点が、この論点の核心です。
- 「大臀筋に最も効く」という順位は、資料によって変わります。 筋電図のレビューではステップアップ系が筆頭、長期の筋肥大のメタ解析では順位がついていません。
- 筋電図の研究(2015年)の筆頭著者は器具の特許権者かつ発明者、9週間の研究(2023年)では共著者2名が運動関連の製品・サービスを販売していることが、それぞれの原典に明記されています。 結果を否定する材料ではありませんが、数値を読むときの前提です。
- 女性の重量の目安は上位記事で4倍以上ばらついており、いずれにも出典がありません。
- スプリントへの効果は、群間差の信頼区間がゼロをまたいでいます。 メタ解析でも有意な影響は示されていません。
- 足の位置・ベンチの高さについては、比較した研究を確認できませんでした。
情報を読むときの視点として1点。この種目については、筋電図で高い値を示した研究と、9週間後の肥大に差がなかった研究が、いずれも同じ研究グループから出ています。 「筋電図で◯%」という数値を見たら、それが長期の結果と一致しているかまで確認する価値があります。
