スティフレッグデッドリフト(ストレートレッグデッドリフトとも表記されます)は、膝をほぼ伸ばしたまま股関節だけを曲げて上体を倒し、戻す種目です。通常のデッドリフトが「床から引き上げる」動作なのに対し、こちらはハムストリングを伸ばしてから縮めることに主眼があります。
最初に押さえるのは3つです。膝は「固定」する(伸ばしきってロックはしない)、バーは体に沿わせて太もも前を滑らせる、通常のデッドリフトより軽い重量から始める。
そして、この種目で最も混同されやすいのがルーマニアンデッドリフト(RDL)との違いです。ここを先に片づけます。
1. スティフレッグ/ストレートレッグ/ルーマニアンの違い
3つの名前の差は、突き詰めると「膝をどれだけ曲げるか」と「どこから始めるか」の2点です。
| スティフレッグ(ストレートレッグ) | ルーマニアン(RDL) | 通常のデッドリフト | |
| 膝 | ほぼ伸ばしたまま固定 | 軽く曲げた角度を保つ | 動作に合わせて大きく曲げ伸ばしする |
| 開始位置 | 立位から下ろす(床から始めることもある) | 立位から下ろす | 床のバーから引き上げる |
| 主なターゲット | ハムストリング | ハムストリング+大臀筋 | 脊柱起立筋・大臀筋・ハムストリング・広背筋 |
| 扱える重量 | 小さい | 中間 | 最も大きい |
| 可動域 | ハムストリングが伸びる範囲まで | 同様(膝が曲がる分だけ浅い) | 床まで |
上位の解説記事で共通しているのは、「膝を伸ばすほどハムストリングが伸ばされ、曲げるほど大臀筋の関与が増える」という説明です。この点については、スティフレッグとルーマニアンを直接比較した筋電図研究があり、結果は上の説明とは逆方向でした。
競技ボディビルダー10名(トレーニング歴10.6±1.8年)が80%1RMで、ルーマニアンデッドリフト(RD)/台の上に立って可動域を広げたルーマニアン(step-RD)/スティフレッグデッドリフト(SD)の3種目を行い、大臀筋・中殿筋・大腿二頭筋・半腱様筋・脊柱起立筋の興奮を測定したものです。
| 筋 | 上体を起こす局面(求心相)で高かった順 | 効果量 |
| 大臀筋 | step-RD > SD > RD | step-RD vs RD 1.70/step-RD vs SD 1.18/SD vs RD 0.99 |
| 半腱様筋(ハムストリングの内側) | step-RD > RD > SD | step-RD vs RD 0.82/step-RD vs SD 3.13/RD vs SD 1.38 |
| 最長筋(脊柱起立筋) | step-RD > RD、step-RD > SD | 2.12/3.28 |
上体を倒す局面(遠心相)では、種目間の差は少なくなりました。著者のまとめは「step-RD は可動域と後方筋群の伸長がより大きいためか、後鎖の全体的な興奮を高めた。また RD は SD より半腱様筋を、SD は RD より大臀筋を、それぞれより強く動員するようである」です。
出典:Coratella G, Tornatore G, Longo S, Esposito F, Cè E. IJERPH, 19(3), 1903, 2022年, PMID 35162922(全文 )
この研究には床から引く通常(コンベンショナル)のデッドリフトが含まれていません。 そのため「スティフレッグと通常のデッドリフトの違い」については、依然として測定データを当サイトでは確認できていません。また報告されているのは効果量と信頼区間のみで、種目間の対比ごとのp値の記載がありません。 対象は競技ボディビルダー男性10名であり、一般のトレーニーに当てはめるのは推定です。1回のセッションで測った筋活動(急性EMG)であり、数週間続けたときの筋の発達を比べたものではありません。
つまり、「膝を伸ばすほどハムに効く」という定番の説明は、この測定では支持されていません。 膝を軽く曲げるRDLのほうが半腱様筋の興奮が高く、膝を伸ばすスティフレッグのほうが大臀筋の興奮が高い、という向きの結果です。ただし上記の制約があるため、「RDLのほうがハムに効く」と言い換えて断定することもできません。
実務上は、名前の区別に時間をかけるより次のように整理すると迷いません。
- ハムストリングが伸ばされる感覚をはっきり出したい → 膝を伸ばし気味(スティフレッグ側)。ただし上記のとおり、筋活動まで高くなるとは限りません
- 腰が不安、または重量を伸ばしたい → 膝を軽く曲げる(RDL側)
- 後鎖全体の興奮を高めたい → 台の上に立って可動域を広げる step-RD が3種目のなかで最も高かった、という測定結果があります(上記の制約つき)
「膝を伸ばす」はロックすることではありません
ここが記事間で最も食い違う点です。「膝を伸ばして固定」と書かれた記事と「わずかに曲げる」と書かれた記事が併存しています。
膝を伸ばしきってロックすると、上体を倒す動作を股関節ではなく背骨で行うことになりやすいという点だけは押さえてください。膝を「これ以上曲げも伸ばしもしない角度で止める」のが固定です。角度そのものの正解を示すデータは当サイトでは確認できていません。
2. スティフレッグデッドリフトのやり方

- セットアップ: 足を腰幅に開き、バーを順手で肩幅程度に握って立ちます。バーは太ももの前に触れる位置です。
- 膝を決める: 膝を軽く緩めた角度で止めます。この角度を最後まで変えません。
- 股関節から倒す: お尻を後ろへ引きながら上体を前に倒します。腰を丸めて折りたたむのではありません。ハムストリングの後ろ側が引っ張られる感覚が出るところまで下ろします。
- バーは体に沿わせる: バーが太ももの前面を滑るように動かします。体から離れるほど腰への負担が増えます。
- 戻す: ハムストリングと大臀筋で股関節を伸ばし、上体を起こします。トップで腰を反らせて締めません(理由は後述します)。
- 呼吸: 下ろすときに吸い、戻すときに吐きます。息を止め続けないでください。
可動域は柔軟性で決まります
「バーをすねの中ほどまで」といった目安が書かれることがありますが、どこまで下ろせるかはハムストリングの柔軟性で決まります。 下げる深さを目標にすると、足りない分を背中を丸めて稼ぐことになります。
背中のラインが崩れる一歩手前が、その日の可動域の下限です。 深さの目標値より、この基準のほうが安全です。
フォームが崩れていないかの確認ポイント
| チェック項目 | 崩れているサイン |
| 膝 | 動作中に曲がる角度が変わっている、伸ばしきってロックしている |
| 背中 | 下ろす途中で背中が丸まる、あるいは強く反っている |
| 股関節 | お尻が後ろへ引けず、腰から折れている |
| バーの軌道 | バーが体から離れて前方へ出ている |
| 重心 | つま先側に乗っている |
| トップ | 立ち上がりきったところで腰を反らせている |
| 首 | 鏡を見るためにあごを上げている |
セット最初の1回ではなく、最後の1〜2回で確認してください。
3. 重量・回数・頻度の決め方

3-1. 最初の1本
通常のデッドリフトより軽い重量から始めてください。 具体的には、バーベルならシャフト単体(20kgのオリンピックバー、扱えない場合は軽量バー)、ダンベルなら両手で持てる軽いものが試着候補です。
「通常のデッドリフトの70〜80%」という目安が流通していますが、この比率の出所を当サイトでは確認できていません。 比率を計算するより、背中のラインを崩さずにハムストリングの伸びを感じられる範囲という基準で選ぶほうが確実です。
この種目には、重量を上げにくくする事情があります。扱える重量の上限が、ハムストリングの強さではなく柔軟性と姿勢の維持で決まることです。重くすると、まず「背中が丸まる」「バーが体から離れる」という形で崩れます。
3-2. 回数から決めます
RM(Repetition Maximum)とは、フォームを保ったまま挙げられる限界の回数です。アメリカスポーツ医学会(ACSM)の2009年版ポジションスタンドでは、経験レベルの定義と、レベル別の負荷・頻度が次のように示されています。
| 経験レベル | 定義(ACSM 2009年版) | 推奨される負荷 | 頻度 |
| Novice(初心者) | レジスタンストレーニングの経験がない、または数年間トレーニングしていない | 8〜12RM | 週2〜3回 |
| Intermediate(中級者) | 継続的なレジスタンストレーニング経験が約6か月 | 1〜12RMを周期的に変化させる | 週3〜4回 |
| Advanced(上級者) | 数年のレジスタンストレーニング経験がある | 1〜12RMを周期化し、1〜6RMを重視 | 週4〜5回 |
出典:American College of Sports Medicine「Progression Models in Resistance Training for Healthy Adults」Med Sci Sports Exerc, 41(3), 687–708, 2009年(PubMed PMID 19204579 )
上の定義・負荷・頻度は、ACSMが2009年に公表したポジションスタンドの記載です(2026年版の改訂内容は下記)。Intermediateの「約6か月」は原文が approximately(およそ)であり、6か月で切り替わる厳密な閾値ではありません。 著者自身も「これらの推奨は文脈のなかで適用され、個人の目標・身体能力・トレーニング状態に依存する」と明記しています。これはレジスタンストレーニング全般の原則で、スティフレッグデッドリフト専用の基準ではありません。頻度もトレーニング全体に対する推奨です。
ACSMは2026年に改訂版を公表しています。137件のシステマティックレビュー・3万人超のデータを統合したもので、筋肥大が目的なら対象筋群あたり週約10セットを確保し、下ろす局面(エキセントリック)を重視することが有効とされました。失敗まで追い込むこと・器具の種類・複雑な期分けは、成果に一貫した影響を与えなかったと結論づけられています。
出典:American College of Sports Medicine「Resistance Training Prescription for Muscle Function, Hypertrophy, and Physical Performance in Healthy Adults: An Overview of Reviews」Med Sci Sports Exerc, 58(4), 2026年(PMC12965823の全文 )
実務上の組み方は次のようになります。
- 回数: 8〜12回で限界が来る重量。背中のラインが崩れるなら12〜15回側へ寄せます
- セット数: 2〜3セット。ACSM 2026年版の「週約10セット」は本種目単体ではなく、ハムストリング・大臀筋を使う種目の合計で数えます
- 頻度: 週2〜3回
- 順序: ACSM 2009年版は「運動強度の保持を最適化するように配列する」として、大筋群→小筋群、多関節→単関節、高強度→低強度の順を示しています。スクワットやデッドリフト本体でハムストリング・脊柱起立筋を使い切った後に置くと、姿勢の維持が先に限界を迎えるため、脚の日の前半に置くか別の日に分けるほうが扱いやすくなります
- セット間の休憩: ACSM 2009年版は目的別に、筋力(中級〜上級)3〜5分/筋肥大1〜2分/局所筋持久力(40〜60%1RMで15回超)90秒未満を示しています
休憩時間については系統的レビューが2件あります。23研究・計491名を統合したレビューは、60秒未満の短い休憩でも頑健な筋力向上は達成しうるが、鍛錬者が筋力向上を最大化するには2分を超える休憩が必要と思われ、未訓練者は60〜120秒で十分と思われると結論しています。筋肥大については6研究を統合したレビューが、短い休憩も長い休憩もいずれも有用でありうるとしています。
出典:Grgic J, Schoenfeld BJ, Skrepnik M, Davies TB, Mikulic P. Sports Med, 48(1), 137–151, 2018年(PubMed PMID 28933024 )/Grgic J, Lazinica B, Mikulic P, Krieger JW, Schoenfeld BJ. Eur J Sport Sci, 17(8), 983–993, 2017年(PubMed PMID 28641044 )
上の2件はいずれも系統的レビューであり、メタ解析ではありません。「メタ解析でこう示された」とは書けません。前者の著者自身も「最適な休憩時間の推奨は主として急性効果を調べた研究から推論されており、長期の適応への一般化可能性は不確かである」と述べています。スティフレッグデッドリフトを対象に休憩時間を比較した研究は当サイトでは確認できていません。 並び順についても、ACSM 2009年版が示しているのは推奨であり、順序を入れ替えて結果を比較した介入研究のメタ解析ではありません。
4. 腰の扱い——「丸めるな」の理由はどこまで確かか
上位記事の4件すべてが「腰を丸めない」と書いています。指示としては妥当ですが、その理由づけは記事によって曖昧です。 ここは根拠の状況を分けて見る必要があります。
4-1. 前傾して荷重を扱えば腰椎の負荷は増えます
前傾姿勢で荷重を扱うと、荷重の増加に伴って腰椎の屈曲モーメントと椎間板の圧縮力が増加します。これは箱を持ち上げる動作を対象にした研究であり、スティフレッグデッドリフトを直接測定したものではありません。
出典:Han JS, et al. Eur Spine J, 4(3), 153–168, 1995年(PubMed PMID 7552650 )
参考として、立位で前傾したまま荷重を扱う動作については、ローイング種目3種を比較した研究があります。立位ベントオーバーロウは背部全体に対称的に大きな活動を生じる一方、腰椎への脊柱負荷が3種目のなかで最も大きく、体を斜めに支えるインバーテッドロウ(斜懸垂)では腰部脊柱起立筋の活動が低く、それに対応して脊柱負荷も低いという結果でした。これはローイング種目の研究であり、スティフレッグデッドリフトを測定したものではありません。 男性7名の急性測定で、抄録に数値・p値の記載はありません。
出典:Fenwick CM, Brown SH, McGill SM. J Strength Cond Res, 23(2), 350–358, 2009年, DOI 10.1519/JSC.0b013e3181942019, PMID 19197209(PubMed )/同一タイトル・同一著者の論文が同誌 23(5), 1408–1417, 2009年, DOI 10.1519/JSC.0b013e3181b07334, PMID 19620925(PubMed )にも掲載されており、どちらが版元記録かは一次ソースから判別できません。
つまり「重くすれば腰椎の負荷は増える」という一般原則は成り立ちます。問題は、その負荷が痛みや傷害につながるかという次の段階です。 ここは確定していません。
4-2. 「丸めたら腰痛になる」は確定していません
職業中の体幹屈曲を実測した4研究・計2,013名(北欧・西欧のブルーカラー労働者)を対象にした系統的レビューでは、関連を支持する証拠は認められませんでした。 ただし著者はエビデンスの確実性は低いと明記しています。
出典:Maillard A, et al. Work, 84(1), 42–51(2025年オンライン公開、PMC13144654の全文 )
なお、この研究が調べたのは職業中の姿勢であり、筋力トレーニングの動作は検証されていません。トレーニングへの適用は外挿です。著者は、エビデンスの確実性が低いこと、60度以上の屈曲が1日約1時間を超えない集団に限って妥当であることも限界として挙げています。
これは「背中を丸めても腰痛にならない」という意味ではありません。 確実性の低いエビデンスで関連が示されなかった、というだけです。「丸めても平気」の根拠としては使えません。
4-3. 反らせれば安全、でもありません
では腰を強く反らせればよいのか。腰椎の前弯位(反った状態)と後弯位(丸めた状態)を力学的に比較した研究では、前弯位のほうが活動筋力・軸圧縮力・剪断力がいずれも高くなりました。著者の結論は、極端な姿勢ではなく自然な姿勢または中等度の屈曲でした。
出典:Arjmand N, Shirazi-Adl A. Spine, 30(23), 2637–2648, 2005年(PubMed PMID 16319750 )
「反らせば安全」という推奨としてこの研究を使うことはできません。 前節で「トップで腰を反らせない」と書いたのはこのためです。
4-4. 結局どうすればよいか
| 判断材料 | 現時点で言えること | 実務での対応 |
| 前傾+荷重 | 荷重が増えれば腰椎の負荷は増える(別動作の研究) | 重量を上げすぎない |
| 背中を丸める | 腰痛との関連は示されていないが、確実性は低い | 「丸めても平気」とは扱わない |
| 腰を反らせる | 反り位のほうが圧縮力・剪断力は高い | トップで反らせて締めない |
| 可動域 | 種目固有のデータは確認できていない | 背中のラインが崩れる手前で折り返す |
| 既往・現在の症状 | – | 痛みがあるなら外す、または代替へ |
腰や背中の痛み・違和感が続く場合は、自己判断でトレーニングを継続せず、整形外科などの医療機関や専門家への確認が必要な場合があります。 本記事は一般的な情報提供であり、個別の症状に対する診断や治療方針を示すものではありません。
5. ハムストリングが硬くて下ろせない場合
可動域が取れない状態でこの種目を続けると、足りない分を背中で稼ぐことになります。次の順で調整してください。
- 膝を曲げる角度を少し増やす(RDL側へ寄せる)。 ハムストリングが緩むぶん、上体を倒せる範囲が広がります。
- ダンベルに替える。 バーが体に当たらないため、体の横で下ろせます。
- 可動域を狭くしたまま続ける。 下ろす深さを浅くしても、ハムストリングが働かないわけではありません。
- 片脚(シングルレッグ)版に替える。 バランスの要求は増えますが、扱う重量が下がります。
ストレッチで柔軟性が改善するまで待つ必要はありません。 ただし、トレーニング前の静的ストレッチが直後のパフォーマンスに与える影響については、当サイトでは一次情報を確認できていません。
6. バリエーション
- バーベル: 基本形。左右のバランスが取りやすく、重量の管理もしやすい形です。
- ダンベル: 体の横で下ろせるため、バーが太ももに当たる問題が起きません。可動域も自分で決められます。
- スミスマシン: バーの軌道が固定されるため、前後のブレを気にせず膝と背中の固定に集中できます。
- ケトルベル: 1個を両手で持つ形なら、重心が体の中心寄りになります。
- シングルレッグ: 片脚で行う形。扱う重量が下がるぶん、バランスの要求が増えます。左右差の確認にも使えます。
器具を変えたら回数を測り直してください。 バーベルで8〜12回だった負荷が、ダンベルで同じにはなりません。
7. 他の種目との使い分け
脚・背面の日に組む場合の例です。
ハムストリングは股関節を伸ばす働きと膝を曲げる働きの両方を持ちます。スティフレッグデッドリフトは股関節側の動きだけを使うため、レッグカールで補うと担当が揃います。 ただし、この組み合わせの効果を比較した研究は当サイトでは確認できていません。
デッドリフト本体との併用については、同じ日に両方を高重量で入れると、ハムストリングと脊柱起立筋が先に限界を迎えます。 どちらかを軽めに抑えるか、日を分けるのが現実的です。
器具ごとの選び方やジムでの組み立てはジムの筋トレメニューを参照してください。
8. よくある質問(FAQ)
- スティフレッグデッドリフトとストレートレッグデッドリフトは違う種目ですか?
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日本語ではほぼ同義で使われています。どちらも「膝をほぼ伸ばしたまま行うデッドリフト」を指します。
- ルーマニアンデッドリフトとの違いは何ですか?
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膝を曲げる度合いです。スティフレッグはほぼ伸ばしたまま、RDLは軽く曲げた角度を保ちます。「膝を伸ばすほどハムに効き、曲げるほど大臀筋に効く」と説明されることが多いのですが、両種目を直接比較した筋電図研究(競技ボディビルダー10名、80%1RM)では逆方向の結果でした。 上体を起こす局面で、半腱様筋はRDLのほうが高く(効果量1.38)、大臀筋はスティフレッグのほうが高い(効果量0.99)という報告です。ただし効果量のみでp値の記載がなく、対象も競技者10名の急性測定であるため、これを根拠に「RDLのほうがハムに効く」と断定することもできません。
- どこに効きますか?
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ハムストリング(大腿二頭筋・半腱様筋・半膜様筋)が主なターゲットで、大臀筋も関与します。前傾姿勢を保つあいだ脊柱起立筋が働き続けます。
- 膝は完全に伸ばすべきですか?
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伸ばしきってロックすると、上体を倒す動作を股関節ではなく背骨で行うことになりやすいです。「これ以上曲げも伸ばしもしない角度で止める」のが固定です。角度そのものの正解を示すデータは当サイトでは確認できていません。
- 何キロから始めればいいですか?
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kgではなく回数から決めてください。8〜12回で限界が来る重量が目安です。「通常のデッドリフトの70〜80%」という比率が流通していますが、出所を当サイトでは確認できていません。
- 腰が痛くなります。
-
中断してください。腰や背中の痛みが続く場合は医療機関への確認が必要な場合があります。継続する場合は、膝を曲げる角度を増やす(RDL側へ寄せる)、下ろす深さを浅くする、重量を下げる、という順で負荷を落とせます。
- どこまで下ろせばいいですか?
-
深さの目標値ではなく、背中のラインが崩れる一歩手前をその日の下限にしてください。可動域はハムストリングの柔軟性で決まります。
- デッドリフトをやっていれば不要ですか?
-
通常のデッドリフトは床から引き上げる動作で、膝の曲げ伸ばしを伴います。ハムストリングを伸ばした位置から使う局面が少ないため、狙いが違います。なお、スティフレッグと床から引く通常のデッドリフトを直接比較した筋活動データは当サイトでは確認できていません(前述の研究はルーマニアン系3種の比較で、通常のデッドリフトを含みません)。
- セット間の休憩は何秒ですか?
-
ACSM 2009年版は目的別に、筋力3〜5分/筋肥大1〜2分/局所筋持久力90秒未満を示しています。系統的レビュー(23研究・491名)では、鍛錬者が筋力向上を最大化するには2分超、未訓練者は60〜120秒で十分と思われるとされています。スティフレッグデッドリフトを対象に休憩時間を比較した研究は当サイトでは確認できていません。
9. まとめ
スティフレッグデッドリフトは、膝を固定して股関節だけを動かし、ハムストリングを伸ばした位置から使う種目です。
実践面では、次の3点を押さえてください。
- 膝は固定します。ロックはしません。 伸ばしきると、上体を倒す仕事が股関節から背骨に移ります。
- 下ろす深さは柔軟性が決めます。 目標値まで下ろすために背中を丸めるのは順序が逆です。背中のラインが崩れる手前で折り返してください。
- 通常のデッドリフトより軽い重量から始めます。 上限を決めるのはハムストリングの強さではなく、姿勢を保てる範囲です。
そして、この種目をめぐる情報を読むときの視点として1点。「膝を伸ばすからRDLよりハムに効く」という定番の説明は、両種目を直接比較した筋電図研究では支持されていません。 その研究では半腱様筋はRDL側、大臀筋はスティフレッグ側が高いという逆向きの結果でした(競技者10名・急性測定・p値の記載なしという制約付きです)。名前の区別を詰めるより、背中のラインを崩さない範囲でハムストリングの伸びを出せているかを見るほうが実際的です。
