リアレイズは必要? サイドレイズで代替できない理由と、腰を痛めないやり方

リアレイズは、サイドレイズでは代わりが利きにくい種目です。三角筋後部は、腕を真横に上げる動作に対しては力学的に不利な位置にあることが、肩のモーメントアーム(筋が関節を動かす力の腕)を測った研究で示されているからです。つまりサイドレイズを何セット積み上げても、後部が主役になる場面は作りにくいということです。

この記事では、「リアレイズは必要ないのでは」という疑問への答えを力学の側から示したうえで、手の向き・腕を開く角度といったフォームの分岐点、重量と回数の決め方、そして検索でよく挙がる「腰が痛くなるのはなぜか」を、出典付きで整理します。

目次

1. リアレイズは必要ないですか? ——サイドレイズでは代われません

肩のトレーニングをサイドレイズ中心で組んでいると、「腕を横に上げていれば三角筋全体に効いているのでは」と感じることがあります。しかし三角筋の前部・中部・後部は、それぞれ得意な方向が構造として分かれています。

肩の挙上における三角筋の役割を調べた研究では、前部・中部の三角筋が挙上域の大部分で正の外転モーメントアーム(腕を横に上げる方向に働く力の腕)を持つのに対し、後部三角筋は内転モーメントアームを持つと報告されています。腕を横に上げる動作に関しては、後部三角筋はブレーキ側に位置しているということです。

出典:Liu J, Hughes RE, Smutz WP, Niebur G, Nan-An K.「Roles of deltoid and rotator cuff muscles in shoulder elevation」Clinical Biomechanics, 12(1), 32–38, 1997年(PubMed PMID 11415669

では後部三角筋はどの方向で力を出しやすいのか。死体肩でモーメントアームを実測した研究では、大円筋と後部三角筋が最大の伸展モーメントアーム(腕を後方へ引く方向)を持つと報告されています。

出典:Ackland DC, et al. Journal of Anatomy, 213(4), 383–390, 2008年(PubMed PMID 18691376

この2つを並べると、役割分担がはっきりします。腕を前に上げる動作は前部、真横に上げる動作は中部、そして腕を後方へ引く動作が後部です。上体を前に倒して腕を開くリアレイズは、この3つ目の方向をわざわざ作りにいく種目にあたります。

したがって、肩まわりを立体的に発達させたい、あるいは後ろ姿の厚みを出したいのであれば、リアレイズ(あるいは同じ方向を使う種目)を省略しない方が理にかなっています。逆に言えば、サイドレイズで三角筋中部、フロントレイズで前部を鍛えていても、後部は別枠で用意しないと空白のまま残りやすい部位です。

なお、これらは筋と骨の位置関係から導かれる力学的な性質であり、「リアレイズをやらないと肩が発達しない」という因果を証明したトレーニング研究ではありません。三角筋後部に十分な刺激が入る種目(後述のフェイスプルやローイング系の一部)を別に行っている場合、リアレイズという種目名にこだわる必要はありません。

2. リアレイズで鍛えられる筋肉

主働筋は三角筋後部です。加えて、肩甲骨を寄せる動作を伴うため、僧帽筋中部・下部や菱形筋、そして肩の外旋に関わる棘下筋・小円筋も関与します。上体を前傾させたまま保持するため、脊柱起立筋をはじめとする体幹の筋も等尺性に働きます。

ここで押さえておきたいのは、僧帽筋の関与は「悪いこと」ではないが、増えすぎると狙いがずれるという点です。三角筋後部に効かせたいのに肩甲骨を寄せる動きが先行すると、種目としてはローイングに近づいていきます。この境目を決めるのが、次に扱う手の向きと腕を開く角度です。

3. リアレイズの正しいフォームとやり方

以下は、ダンベルを持ち立位で前傾するベントオーバーリアレイズの手順です。器具の制約が最も少ない基本形にあたります。

  1. スタートポジション: 足を腰幅に開き、両手にダンベルを持ちます。膝を軽く曲げ、股関節から上体を前に倒します。背中は丸めきらず、かといって強く反らせもせず、自然なS字を保った位置で止めます。前傾の深さは、腕を垂らしたときにダンベルが足の前あたりに来る程度が目安です。
  2. 腕を開く: 肘を軽く曲げたまま、ダンベルを左右に開いていきます。手ではなく肘を外側・後方へ運ぶイメージで動かします。
  3. トップポジション: 上腕が床と平行になるあたりで止めます。ここから先へ無理に開こうとすると、肩甲骨を寄せる動きに置き換わりやすくなります。
  4. ゆっくり戻す: 下ろす局面を自分でコントロールします。落とすように戻すと、三角筋後部に効いている時間がほとんど残りません。
  5. 上体は動かさない: 一連の動作中、前傾角度を変えません。腕を上げるたびに上体が起き上がる場合は、重量が今の自分に対して重い可能性があります。

フォームが崩れていないかの確認ポイント

チェック項目崩れているサイン
上体挙上に合わせて上体が起き上がる、または反動で上下に揺れる
股関節ではなく腰椎から丸めて(または反らせて)前傾を作っている
肩甲骨腕が動き出す前に、肩甲骨を寄せる動きが先に出る
スタート時より肘が深く曲がり、ダンベルが体に近づく
首・肩挙上と同時に肩がすくみ、耳に近づく
下ろす動作下ろす局面が速く、脱力して落としている

フォームは回数を重ねるほど崩れます。セット最初の1回ではなく、最後の1〜2回でこの表を確認してください。前傾姿勢では自分の背中が見えないため、可能であればスマートフォンで真横から撮影すると、上体の起き上がりに気づきやすくなります。

4. 手の向きで、効く筋肉が変わります

リアレイズの解説でよく分かれるのが、手のひらを下に向ける(回内位)か、向かい合わせる(中立位)かという点です。ここには実験による裏づけがあります。

抵抗トレーニング経験のある男性19名を対象に、リバースフライマシンを用いて手の向きを比較した研究では、中立位(手のひらが向かい合う)のほうが回内位(手のひら下向き)より、後部三角筋(p=0.046、差0.1〜7.4%MVIC)・棘下筋(p=0.002、差3.7〜13.6%MVIC)ともに筋活動が有意に高いと報告されています。

出典:Schoenfeld BJ, Sonmez RGT, Kolber MJ, Contreras B, Harris R. J Strength Cond Res, 27(10), 2644–2649, 2013年(PubMed PMID 23302754

この研究はマシンでの測定であり、ダンベルを使ったベントオーバーリアレイズにそのまま当てはめられるものではありません。 マシンでは軌道が固定されていますが、ダンベルでは手の向きを変えると重力に対するダンベルの姿勢も変わり、条件が同じになりません。ダンベルへの適用は推定として扱ってください。

方向としては、同じ結論を支持する別の報告もあります。健常男性労働者10名を対象に肩のリハビリ種目6種を筋電図で比較した研究では、90度外転位・最大外旋・親指を上に向けた条件でのうつ伏せ水平外転において、後部三角筋・棘下筋・小円筋・中部僧帽筋・下部僧帽筋の積分筋電値が6種目中で最も高くなりました(上部僧帽筋のみ別種目が最高)。

出典:Kumar M, Srivastava S, Das VS.「Electromyographic analysis of selected shoulder muscles during rehabilitation exercises」J Back Musculoskelet Rehabil, 31(5), 947–954, 2018年(PubMed PMID 30010102

実践に落とすと、次のようになります。

  • 手のひらを強く下に向けきるより、親指がやや上を向く程度の中立位を保つほうが、三角筋後部・棘下筋には有利な可能性があります
  • ただしこれらは対象者10〜19名の小規模な研究で、いずれもダンベルでのベントオーバーリアレイズを直接測定したものではありません。「この持ち方でなければ効かない」という強さの根拠ではありません
  • 手の向きを変えると効き方の感覚も変わります。両方を試し、三角筋後部に張りを感じられるほうを選ぶ、という決め方で構いません

5. 腕はどこまで開くか——僧帽筋との境目

「もっと大きく開いたほうが効く」という説明を見かけることがありますが、開けば開くほど良いとは限りません。

健常男性16名を対象に、うつ伏せでの水平外転を肩90度・60度・30度・120度の外転角度と、内旋・中間位・外旋の組み合わせ計9条件で測定した研究では、上部・中部・下部の僧帽筋いずれも、外転角度が大きくなるほど筋活動が増加しました。回旋条件で有意差が出たのは下部僧帽筋のみで、120度・内旋位が最大でした。

ここで重要なのは、著者自身の解釈です。著者はこの120度・内旋位での高い活動を「代償的な活動」として捉えており、リハビリテーションの早期段階では30〜60度の外転+外旋位を推奨しています。 つまりこの研究は、「大きく開けば下部僧帽筋を鍛えられる」という推奨として読むものではありません。

出典:Lim JY, Lee JS, Mun BM, Kim TH.「A comparison of trapezius muscle activities of different shoulder abduction angles and rotation conditions during prone horizontal abduction」J Phys Ther Sci, 27(1), 97–100, 2015年(PMC4305608の全文

三角筋後部を狙う目的でリアレイズを行っているのであれば、上腕が床と平行になるあたりで止め、そこから先を肩甲骨を寄せる動きで稼がないほうが、狙いからはぶれにくくなります。

僧帽筋そのものを大きくしたい場合は、リアレイズで代償させるのではなく、シュラッグのように目的に合った種目を別に組むほうが確実です。三角筋後部と僧帽筋は同じ「背中側の肩まわり」にありますが、担当する動きが違います。

6. リアレイズの重量の決め方

6-1. 「体重◯kgなら◯kg」という基準は確認できていません

体重・性別・経験レベルからレイズ系種目の適正重量を割り出せる、学会や所管団体レベルの信頼できるデータは、2026年8月時点で確認できていません。インターネット上の目安表の多くは、利用者の自己申告値を集計したクラウドソース型のデータに由来しており、サンプル数や集計方法が公開されていません。本記事では根拠を確認できない数値は掲載しない方針です。

代わりに使うのが、限界反復回数(RM)という考え方です。

6-2. 回数を先に決めて、重量を後から合わせます

RM(Repetition Maximum)とは、フォームを保ったまま挙げられる限界の回数のことです。10回で限界が来る重量を「10RM」と表現します。

アメリカスポーツ医学会(ACSM)2009年版のポジションスタンドでは、経験レベル別に次の負荷が示されています。

スクロールできます
経験レベル定義推奨される負荷頻度
Novice(初心者)未経験、または長期間トレーニングしていない8〜12RM週2〜3回
Intermediate(中級者)約6ヶ月の継続経験がある1〜12RMを周期的に変化させる週3〜4回
Advanced(上級者)数年の経験がある1〜12RMを周期化し、1〜6RMを重視週4〜5回

出典:American College of Sports Medicine「Progression Models in Resistance Training for Healthy Adults」Med Sci Sports Exerc, 41(3), 687–708, 2009年(PubMed PMID 19204579

注記: これはレジスタンストレーニング全般に対する原則であり、リアレイズ専用の基準ではありません。また頻度はトレーニング全体に対する推奨で、リアレイズ単体の実施回数を指すものではありません。

ACSMは2026年に17年ぶりとなる改訂版を発表しています。137件のシステマティックレビュー・3万人超のデータを統合したもので、筋肥大が目的の場合は対象筋あたり週10セット以上を確保し、下ろす局面(エキセントリック)を重視することが有効とされています。また、失敗まで追い込むこと・器具の種類・複雑な期分けは、成果に一貫した影響を与えなかったと結論づけられています。種目ごとのkg基準は示されていません。

出典:American College of Sports Medicine「Resistance Training Prescription for Muscle Function, Hypertrophy, and Physical Performance in Healthy Adults: An Overview of Reviews」Med Sci Sports Exerc, 58(4), 2026年(PMC12965823の全文

リアレイズは単関節種目で、可動域も狭く、上体を前傾で支えたまま行います。低回数・高重量に寄せるほど反動と上体の起き上がりが出やすいため、経験を積んだ方でも比較的高回数側(12〜20回程度)で扱われることが多いというのが実務上の傾向です。ただしこれはACSM 2009年版の原則から導いた一般的な考え方であり、リアレイズという種目そのものを対象にした回数指定の研究ではありません。

6-3. 最初の1本の選び方

出典のない目安表に頼る代わりに、次の手順で選ぶことを推奨します。

  1. 回数を先に決めます。 経験が浅い段階では、12回前後で限界が来る重量を目標にします。
  2. 軽いと感じる重量から試します。 サイドレイズで使っている重量よりも軽いダンベルを1本手に取ります。単関節・狭い可動域の種目であるほど、扱える重量は下がるのが一般的です。
  3. 3. 正しいフォームとやり方のチェック表で確認します。 12回を終えてもチェック項目に当てはまらず、まだ余力があるときだけ、次回に1本重いものへ替えます。
  4. 上げた結果、上体が起き上がる・肩甲骨を寄せる動きが先に出るようなら、1本軽いものに戻します。

この「試着」の手順を踏むと、適正重量は「他人の数値」ではなく「自分で測定した結果」として出てきます。

7. 回数・セット数・頻度の目安

  • 回数: 12〜20回で限界が来る重量。上体を前傾で支える種目のため、重量よりフォームの維持を優先します。
  • セット数: 三角筋後部の肥大を狙う場合、ACSM 2026年版の「筋群あたり週10セット以上」を目安にします。ただしこれはリアレイズ単体ではなく、後部三角筋を使う種目の合計で数えます。
  • 頻度: 週2〜3回が目安です。ACSMポジションスタンド(2009年)が経験の浅い段階で示している頻度もこの範囲ですが、これはトレーニング全体に対する推奨であって、リアレイズ単体の実施回数を定めたものではありません。軽い重量で扱う種目なので、肩のトレーニング日にサイドレイズと同日へ組み込む形が現実的です。
  • 順序: ショルダープレスのような多関節種目の後に置くのが一般的ですが、三角筋後部が明らかに弱点だと感じる場合は、疲労の少ない前半に持ってくる選択肢もあります。

8. リアレイズで腰が痛くなるのはなぜですか?

検索でよく挙がる疑問ですが、「前傾するから腰を痛める」という説明は、そのままの形では裏づけが弱いというのが現時点の状況です。順を追って説明します。

8-1. 「体を曲げること」自体が腰痛の原因だとは示されていません

職業中の体幹屈曲を客観的に測定した4研究・計2,013名(ブルーカラー労働者)を対象にした系統的レビューでは、屈曲の角度や持続時間と、腰痛の発生・悪化・強度との関連を支持する証拠は認められませんでした。 1研究では、30度以上の屈曲を保つ時間が長いほど腰痛リスクがむしろ低いという逆相関も報告されています。

ただし、この結果の読み方には注意が必要です。著者自身が、エビデンスの確実性は低いと明記しています(対象研究数が少なく、北欧・西欧に限定されるため)。また、これは職業中の姿勢を追跡した観察研究であり、筋トレ中の急性的な傷害を扱った研究ではありません。「屈曲は腰痛を起こさない」と示されたのではなく、「関連を支持する証拠が見つからなかった」という不在の報告として扱うのが妥当です。

出典:Maillard A, Pasche T, Coenen P, Christe G.「The association between trunk flexion and low back pain in blue-collar workers: A systematic review」Work, 84(1), 42–51(2025年オンライン先行公開)(PMC13144654の全文

なお、この研究が調べたのは職業中の姿勢であり、筋力トレーニングの動作は検証されていません。トレーニングへの適用は外挿です。著者は、エビデンスの確実性が低いこと、60度以上の屈曲が1日約1時間を超えない集団に限って妥当であることも限界として挙げています。

8-2. 腰への負担を左右するのは、角度より「重さ」と「支えている時間」

前傾姿勢そのものを悪者にするより、腰にかかる力がどこで増えるのかを見たほうが実際的です。

箱を持ち上げる動作での脊柱への負荷を測定した研究では、荷重を0N・90N・180Nと増やすにつれて、L3-4に生じる外部屈曲モーメントが109.6→137.9→161.7Nmと増加し、椎間板の圧縮力も469.5〜601.5Nの範囲で増加しました。また、動的な挙上動作は静的な保持条件より圧縮力が15.8〜39.4%高いと報告されています。

出典:Han JS, Goel VK, Ahn JY, Winterbottom J, McGowan D, Weinstein J, Cook T.「Loads in the spinal structures during lifting…」Eur Spine J, 4(3), 153–168, 1995年(PubMed PMID 7552650

これは箱の挙上を対象とした研究であり、リアレイズを直接測定したものではありません。 そのうえで一般原則として読むと、腰への負担は「手に持っている重さ」と「動作の勢い」によっても変わると考えられます。リアレイズで腰に張りが出るとき、原因が前傾角度そのものだけではなく、重すぎるダンベルを反動で振り上げていることにある可能性も、この一般原則からは考えられます。

8-3. 「腰を反らせておけば安全」でもありません

対処法として「腰を反らせて固める」という説明も見かけますが、こちらも単純ではありません。

静的な挙上動作で腰椎の姿勢を比較した生体力学研究では、腰椎前弯位(反らせた姿勢)は後弯位(丸めた姿勢)より、活動筋力・軸圧縮力・剪断力が高く、同時に安定性マージンも高いという結果が示されています。安定性という点では有利でも、椎体にかかる力そのものは小さくならないということです。「反らせれば負担が減る」という単純な図式ではありません。この研究の著者の結論は、自然な(freestyle)姿勢または中等度の屈曲を推奨するものであり、前弯を強調することを勧めるものではありません。

出典:Arjmand N, Shirazi-Adl A.「Biomechanics of changes in lumbar posture in static lifting」Spine, 30(23), 2637–2648, 2005年(PubMed PMID 16319750

8-4. 実際にできること

以上を踏まえると、腰の不安への対処は「前傾をやめる」ことではなく、腰を支える仕事量そのものを減らす方向になります。

やり方腰への働きかけ
重量を下げ、反動を使わずに12〜20回で行う手に持つ重さと動作の勢いを両方下げる
インクラインベンチにうつ伏せになって行う上体を台に預け、前傾保持の仕事を体幹から外す
ベンチに座り、太ももに胸を近づけて行う(シーテッド)同上。ジムにベンチがあればすぐ試せる
セットを短くし、前傾で止まっている総時間を減らす支持時間を減らす
腰を強く反らせず、自然なS字の範囲にとどめる前弯を過剰に作らない

腰の痛みや違和感が続く場合は、自己判断でトレーニングを継続せず、整形外科などの医療機関や専門家への確認が必要な場合があります。 本記事は一般的な情報提供であり、個別の症状に対する診断や治療方針を示すものではありません。

9. リアレイズのバリエーション

  • ベントオーバーリアレイズ(ダンベル): 立位で前傾して行う基本形。器具の制約が少ない反面、前傾を自分で支える必要があるぶん体幹への負荷が加わります。
  • インクラインリアレイズ(ライイングリアレイズ): 傾斜をつけたベンチにうつ伏せになって行う形。上体の保持が不要になるため、腰に不安がある場合や、三角筋後部だけに集中したい場合に向きます。
  • シーテッドリアレイズ: ベンチに座って上体を太ももに近づけて行う形。ベンチ1台で完結し、前傾角度が安定します。
  • ケーブルリアレイズ(リアデルトフライ): 可動域全体で張力が抜けにくいのが特徴です。
  • リバースペックデック/リバースフライマシン: 軌道が固定されるため、フォームが安定しやすくなります。前傾を自分で保つ必要もないため、腰への不安がある場合の選択肢になります。本記事の第4節で引用した手の向きの研究は、リバースフライマシンを使って行われたものです。

バリエーションを変えたら重量も測り直します。 ベントオーバーで6kgが適正でも、インクラインでは体幹の負担が消えるぶん扱える重量が変わります。

リアレイズとフェイスプル、どちらを選ぶか

三角筋後部を狙う種目としては、フェイスプルもよく挙がります。健康男性10名の動作をもとに筋力をモデル推定した研究では、ベントオーバーダンベルラテラルレイズ(58.591N)とフェイスプル(58.183N)がほぼ同等で、いずれもベントオーバーロー(47.911N)より高い値でした(p<0.001)。

出典:Zhu Q, Chen Z, Feng L. Acta Bioeng Biomech, 27(4), 135–147(2025年印刷号/2026年オンライン公開)(PubMed PMID 41964926

ただしこの数値の扱いには慎重さが必要です。表面筋電図による実測ではなく、動作解析からシミュレーションで推定した値であり、対象は10名と小規模です。研究の目的もリハビリテーションロボットの軌道生成であって、トレーニング処方を検討したものではありません。「どちらかが優れている」と読むのではなく、この2種目は同程度の選択肢として並ぶという参考情報にとどめてください。

10. 他の肩トレーニングとの組み合わせ

三角筋は前部・中部・後部で担当する動きが異なるため、1種目で肩全体をカバーすることはできません。第1節で見たとおり、これは意識の問題ではなく、筋がどの方向に力を出しやすいかという構造の問題です。

多くの人にとって、この4つのうち最も後回しになりやすいのがリアレイズです。鏡に映らず、自分では発達を確認しにくいためです。しかし後部は肩の輪郭を後ろから支える位置にあり、ここが薄いままだと、正面から見た肩幅が出ても横から見たときの厚みが揃いません。肩の日を含めた1週間全体の組み方はジムの筋トレメニューの組み方にまとめています。

11. リアレイズに関するよくある質問(FAQ)

リアレイズはどこに効きますか?

主に三角筋後部です。肩甲骨を寄せる動作を伴うため、僧帽筋中部・下部や菱形筋、外旋に関わる棘下筋・小円筋も関与します。前傾を保つあいだ、体幹の筋も等尺性に働きます。

リアレイズは必要ないですか?

三角筋後部を狙うのであれば、サイドレイズでは代われません。後部三角筋は腕を横に上げる動作に対して内転モーメントアームを持つ(=力学的に不利な位置にある)と報告されているためです(Liu et al., 1997)。ただし種目名としてのリアレイズが必須なのではなく、フェイスプルなど腕を後方へ引く方向を使う種目で代替することは可能です。

リアレイズは何kgから始めればいいですか?

体重や性別から適正重量を割り出せる信頼できるデータは、2026年8月時点で確認できていません。回数を先に決め(12回前後で限界が来ること)、サイドレイズより軽いダンベルから試して、そこに合う重量を探す順番で決めてください。

リアレイズで腰が痛くなるのはなぜですか?

「前傾するから」と説明されることが多いのですが、体幹の屈曲そのものと腰痛の関連は、系統的レビューでは支持されていません(ただしエビデンスの確実性は低いと著者が明記しています)。実際には、重すぎるダンベルを反動で振り上げていること、前傾で支えている時間が長いことのほうが要因として考えやすい状況です。詳しくは8. 腰が痛くなるのはなぜですかを参照してください。痛みが続く場合は専門家への確認が必要な場合があります。

手のひらは下向きと向かい合わせ、どちらが正解ですか?

リバースフライマシンを使った研究では、手のひらを向かい合わせる中立位のほうが、後部三角筋・棘下筋の筋活動が高いと報告されています(Schoenfeld et al., 2013)。ただしこれはマシンでの結果で、ダンベルにそのまま当てはまるとは限りません。両方試して、三角筋後部に効いている感覚が得られるほうを選んで構いません。

リアレイズで僧帽筋ばかり疲れます。

腕を大きく開こうとして、肩甲骨を寄せる動きが先行している可能性があります。上腕が床と平行になるあたりで止め、そこから先を稼ごうとしないでください。重量を下げると改善する場合もあります。僧帽筋を目的として鍛えたいのであれば、シュラッグのような専用の種目を別に組むほうが確実です。

自宅でもできますか?

できます。ダンベルがなければ水を入れたペットボトルでも代用できます(500mlで約0.5kg)。ベンチがない場合は、椅子に座って上体を太ももに近づけるシーテッドの形にすると、前傾を保つ負担を減らせます。ダンベルを使ったトレーニング全般の進め方も併せて確認してください。

12. まとめ

リアレイズは、サイドレイズやフロントレイズの補助種目ではなく、別の方向を担当する独立した種目です。後部三角筋は腕を横に上げる動作には力学的に不利で、腕を後方へ引く方向で力を発揮しやすい構造になっているためです。

実践面では、次の3点を押さえてください。

  1. 重量より前傾角度の維持を優先します。 挙上のたびに上体が起き上がるなら、それは重すぎるサインです。12〜20回で限界が来る範囲に設定します。
  2. 上腕が床と平行になるあたりで止めます。 そこから先を肩甲骨を寄せて稼ぐと、狙いが僧帽筋側にずれていきます。
  3. 腰に不安があるなら、姿勢を工夫するより仕事量を減らします。 インクラインベンチにうつ伏せになる、座って行う、重量を下げる。前傾を強く反らせて固める必要はありません。
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この記事を書いた人

BULKFIT24(バルクフィット24)は、株式会社ビズファンが運営する24時間営業の完全無人型スポーツジムです。ビズファンは、経済産業省から「スマートSMEサポーター」に認定されており、ICTやIoT、インターネット広告に精通した企業です。

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さらに、BULKFIT24の公式サイトでは、筋力トレーニングやIT関連(iPhoneやインターネット)の情報を発信するコラムを掲載し、会員の皆様の健康と知識の向上をサポートしています。

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